近年、情報漏洩インシデントの多くが、単なる外部攻撃によるものではなく、内部の認証設定の甘さや運用上の不備に起因して発生しています。特に、業務上アクセス権限の高い職位の方や管理部門において、不十分な認証設定(例:パスワードの使い回し、推測しやすい文字列、二要素認証の未設定)によって重大なセキュリティ事故につながるケースが報告されています。
攻撃者は日々進化する手法を用い、組織の脆弱な箇所を狙ってきます。なかでも個人のアカウントを起点とした侵入は、目立たず、かつ深刻な影響を及ぼすリスクがあります。こうした事例を受け、今一度、すべての構成員が「自分の認証設定は十分か」「不用意なアクセスを許していないか」を再確認し、リスク管理に主体的に取り組む必要があります。
特に管理職や意思決定層の皆様には、以下の点について率先して実践いただくとともに、所属部門への意識づけにもご協力をお願いいたします。
- パスワードは使い回さず、長く複雑なものを設定する
- 多要素認証(MFA)を導入し、有効化する
- アクセス権限の棚卸しを定期的に行う
- 業務に関係ない端末やネットワークからのアクセスを制限する
- セキュリティ教育を定期的に受講・推進する
情報は組織の資産であり、それを守るのは一人ひとりの意識と行動です。攻撃を完全に防ぐことは困難ですが、被害を最小限に抑えることは可能です。そのためには、まず「自分の認証が突破されるかもしれない」という前提に立った対策が必要です。
情報漏洩は、企業の信頼失墜や業務停止など、甚大な被害につながります。全社的なリスク低減のためにも、日々の業務の中でセキュリティ意識を持ち続けていただきますよう、改めてお願い申し上げます。
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